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- Day1 -
Newton Park

in Newton Park
in Newton Park: 2008/10/11
10月11日の12:30、空から美しい海外沿いの街を見ながらPort Elizabethに到着。日本からおよそ26時間。なによりも無事に着いて安心した。そしてすぐにガイドの方にお会いすることもできた。嬉しいことに以前から知っていてくれて、すぐに多肉の話になった。そして休むことなく最初の産地へ。途中にはビニルハウス内でトマトを栽培している所があった。またマダガスカルと同様にアガベがかなりエスケープしているようだ。車内から何処かに多肉はないかとキョロキョロしていると「あと10分もすれば見れるよ」と言われ、閑静な住宅街の丘に着いた。今日一ヵ所目の産地、Newton Parkだ。いよいよ南アフリカで初めての多肉植物を見られると思うと、かなり緊張する。しかし多肉植物の自生地と言うとマダガスカルのような険しい山なんかを連想していたが、意外と街中の郊外と言った所だ。しかし車を降りて少し歩くとそこには断崖絶壁が待ち受けていた!正直なところ本当にここ降りるの?・・と思ってしまった。足元も道があるわけではなく、ガラガラと崩れてしまう。おそらく一歩踏み外せば遥か下の川に転落してしまうだろう。

Ornithogalum sp.
Ornithogalum sp.: 2008/10/11
しかし、一歩その地へ足を踏み入れると南アフリカが多肉植物の宝庫であると実感した!足元にはメセンやクラッスラで彩られ、その合間合間に様々な多肉植物が自生している。Ornithogalum sp. もそのひとつで、ケープ州に代表されるユリ科のバルブだ。国内では普及種だが、自生地でも同様に多く見られる。他のバルブはわりと地中に球根が隠れていたりするが、このオルニソガラムはほとんどが地上に出ていて、すぐにそれと分かった。少し黄緑がかったバルブに黄色の強い葉が美しい。

Drimia haworthioides
Drimia haworthioides: 2008/10/11
ちょっとした石と石の間の隙間に一際珍妙なバルブがコロコロと散在していた。
Drimia haworthioides だ。葉は出ていなかったが、玉型メセンを思わせるようなバルブは非常に興味深い。探せば他にも見つけることができたかもしれないが、この1群生しか目にしなかった。ガイドも他のバルブには気を留めていなかったが、これについては解説してくれた。おそらく現地でも稀少な植物なんだと思う。

Ledebouria sp.
Ledebouria sp.: 2008/10/11
そしてLedebouria sp. が地面に。この植物も東ケープから西ケープまで非常によく見ることができた植物だ。写真の様にレオパード模様があるものから無いもの。その模様にも大小があったし、花の豪華さにも違いがあった。日本でも様々なタイプがあるが、あまり関心のある植物ではなかった。でもこうして現地で様々な模様を見ていると、ついつい面白い模様の個体を探してしまうし、花が咲いていればカメラを向けたくなる。

a bulbous plant
a bulbous plant: 2008/10/11
このように足元にチラっと目をやるだけで、本当に面白い植物が生えている。写真中央の葉は決して落葉ではなく、バルブの何かだ。
おそらく成長期にのみ葉を1枚(あるいは数枚だけ)出して地下に養分を蓄えているのだろう。この時期の南アフリカが過ごしやすいせいか、何故この環境でこのような特異な戦略をとったのか不思議に思ってしまう。バルブの株元を見ると苔がびっしりと生えているのが分かる。

Cheiridopsis sp.
Cheiridopsis sp.: 2008/10/11
ユリ科のバルブに続いて目に付いたのはメセン科の植物だ。この時期は花を咲かせていたり、結実していたりと非常に面白い季節。
写真のCheiridopsis sp. のように、そのほとんどが群生している。メセンは「太陽の子」と言われる通りに、日当たりの良い場所で生育している。この他にも様々なメセンが群生していたが、Carpobrotus もかなり見られた。これらのメセン科の植物は初めうちこそ踏まないように歩いていたが、申し訳ないが踏みながら歩くことになる。車の轍にも大きな群落を形成していて、その生命力には驚かされた!

Senecio scaposus ssp. addoensis
Senecio scaposus ssp. addoensis: 2008/10/11
基本的にはハオルシアしか栽培していないので、この辺りの多肉植物はよく分からない。
このSenecio scaposus ssp. addoensis はこの東ケープにのみ自生するものらしい。基本種の新月に比べると葉先が水掻きの様な形をしていて面白い。この植物もまた葉を見てもわかるように非常に陽射しの強い岩の植えに生えていた。

Bulbine sp.
Bulbine sp.: 2008/10/11
日当たりいいのに、やけに徒長した色のアロエだな・・と思っていたらBulbine だった。
一見すると軟らかく弱そうな黄色い葉を持っているが、太陽の下で元気よく花芽を上げている個体もあった。
Bulbine frutescens なんかは日本国内でも花アロエとして広く普及していて、非常に丈夫な植物だ。

flower of mesembs
flower of mesembs: 2008/10/11
いわゆる花ものメセンも花盛りで、何処へ行っても綺麗な花をみることができた。日本国内でも大きな群生を民家の脇などに見ることができるが、ここ南アフリカでも同じように大きな群落がある。
やはり日当たりの良い方、良い方へと花茎を伸ばして開花している。これは多肉植物を見るというよりも、ワイルドフラワーを見た!という感じだ。

Pelargonium sp.
Pelargonium sp.: 2008/10/11
ワイルドフラワーと言えば、Pelargonium もたびたび見ることができた。ここで見たPelargonium は多肉植物ではなかったが、ピンクの綺麗な花を咲かせていた。この植物も非常に多くの園芸種が作出されていて、愛好家も多いと思う。ただ、やはり多肉植物好きとしては塊茎を持つPelargonium も見ておきたいものだ。

Haworthia cymbiformis
Haworhtia cymbiformis: 2008/10/11
ここには本当に様々な多肉植物が自生していたが、ついに目当ての多肉植物を発見した!生まれて初めて見る自生のハオルシア、Haworthia cymbiformis だ!見つけた瞬間に思わず声が出る。どれだけこの瞬間を待ち望んだことか・・・。多肉植物を栽培するようになって、ハオルシアに熱中し始めて。始めた当初はまさか本当に南アフリカに来るとは思ってもみなかった。しかし現にこうして植物を目の当たりにすると、来るべくしてきた!という風に思える。
そんなことを思いながら地面にへばりついてシャッターを切る。
写真の個体は藪の下にこっそりと生えていて、日陰のせいか日本国内で栽培しているような感じだ。

Haworthia cymbiformis
Haworthia cymbiformis: 2008/10/11
そして斜面の日当たりの良い場所には燦然と輝く群生株が花芽を上げている!なんとも神々しい姿だ!これを見るためにはるばる日本からやってきた。もうありえないぐらい盛り上がってくる。
もちろん今までに原産地で自生しているハオルシアの写真というものは見たことがあったが、実際に目の前の南アの大地に根付いているものを見るとたしかに感動する。
この産地では20~30個体(群生)程あって、わりと大きな群落だ。それでも幅10m〜20mぐらいの範囲に点在する程度。

Haworthia cymbiformis
Haworthia cymbiformis: 2008/10/11
このような断崖絶壁にも自生している。多少の日陰は藪から提供されているが、思っていた以上に日当たりは良い。もちろん水はけもいいと思うし、風も吹きっさらしだ。
日陰で緑色になっているものよりも美しいと思った。必ずしも自生地の環境がベストではないかもしれないが、この辺りに栽培のヒントがあるのかもしれない。
この後も多くのハオルシアの自生地を見ることになるが、このNewton Parkは生まれて初めてみたハオルシアの自生地として、一生忘れることのできない場所となった。

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